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WISCの結果の見方|全検査IQ・5つの指標・凸凹の読み方【Ⅴ/Ⅳ】

WISCの結果の見方|全検査IQ・5つの指標・凸凹の読み方【Ⅴ/Ⅳ】

要点: WISCの結果は、全検査IQ(FSIQ)、指標得点、下位検査の評価点の順に読みます。全検査IQと指標得点は平均100・標準偏差15、下位検査の評価点は平均10・標準偏差3(1〜19)で、合成得点には90%または95%の信頼区間が付きます。WISC-Ⅴの主要指標は言語理解・視空間・流動性推理・ワーキングメモリー・処理速度の5つ、WISC-Ⅳは言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度の4つです。指標間の差は統計的に有意でも珍しいとは限らず、WISC-Ⅳの標準化データでは言語理解と知覚推理に10点以上の差がある子どもが約半数いました。差だけで発達障害は診断できないため、数値は検査者の所見とあわせて読みます。

WISC(ウィスク)の結果は、①全検査IQで全体の水準をつかみ、②指標得点で得意・不得意を比べ、③その差が統計的に意味があり、しかも珍しいかを確かめ、④検査者の所見と日常の様子に照らす、の順で読むと迷いません。数値はどれも平均100(下位検査は平均10)を基準にした相対的な位置で、測定誤差を含む幅で読むのが前提です。この記事では、結果票を受け取った保護者向けに、各数値の意味と読み方、よくある誤解、学校での活かし方を出典つきで整理します。

WISC-ⅤとWISC-Ⅳ:結果票に出てくる指標

現在の日本版はWISC-Ⅴで、対象は5歳0か月〜16歳11か月です。2021年に刊行、2022年2月に発売され、全検査IQは7つの下位検査から出し、その実施はおよそ45〜60分です(日本文化科学社)。2026年7月には関連指標を加えた21検査版も出ています。結果票に出てくる指標は次のとおりです。

  • 全検査IQ(FSIQ): 全体的な知的水準
  • 主要指標(5つ): 言語理解(VCI)・視空間(VSI)・流動性推理(FRI)・ワーキングメモリー(WMI)・処理速度(PSI)
  • 補助指標(5つ): 量的推理(QRI)・聴覚ワーキングメモリー(AWMI)・非言語性能力(NVI)・一般知的能力(GAI)・認知熟達度(CPI)
  • 関連指標(21検査版): 呼称速度(NSI)・シンボル変換(STI)・貯蔵と検索(SRI)

少し前に受けた場合はWISC-Ⅳ(日本版は2010年12月刊行)の可能性があります(松田、2013年)。WISC-Ⅳの指標は言語理解・知覚推理(PRI)・ワーキングメモリー・処理速度の4つで、WISC-Ⅳの知覚推理にあたる領域が、WISC-Ⅴでは視空間と流動性推理の2つの指標に分かれています。版によって指標の数も名前も違うため、まず結果票の版を確認してください。

数値の読み方:合成得点・評価点・信頼区間・パーセンタイル

全検査IQと指標得点(合成得点)は、平均100・標準偏差15の標準得点です(松田、2013年)。これは一般的なIQと同じ尺度なので、IQ早見表やIQ分布データで位置を確かめられます。たとえば115は平均より1標準偏差上で同年齢の上位約16%、85は1標準偏差下で下位約16%にあたり、85〜115に全体の約68%が入ります。

55708510011513014568%(IQ85〜115)95%(IQ70〜130)
IQの正規分布: 平均±1SDに約68%、±2SDに約95%が収まる。

下位検査の評価点は平均10・標準偏差3で1〜19の範囲をとり、8〜12がおおむね平均的とされます(Pearson)。評価点13は平均より1標準偏差上で、合成得点の115と同じ位置です。パーセンタイルは同年齢の中での順位で、パーセンタイル92なら「同年齢の約92%と同じかそれより高い」ことを意味します。

合成得点には90%と95%の信頼区間を出せます(松田、2013年)。実際の報告では「全検査IQは79(90%信頼区間75-85)」のように書かれ(小林、2013年)、真の値はこの幅のどこかにあると読みます。79ちょうどではなく「75〜85のあたり」と捉えれば、1〜2点の差に一喜一憂しなくて済みます。「平均」「平均の下」といった言葉の分類(記述分類)も付きますが、境目の点数と呼び方は版によって異なるため、結果票に書かれた表記に従ってください。

指標の差(凸凹)の読み方:「有意な差」と「珍しい差」は別

指標どうしの差は2段階で見ます。1段階目は、その差が測定誤差を超えるか(統計的に有意か)です。WISC-Ⅳのマニュアルの表では、言語理解と知覚推理の差が有意になる目安は15%水準で10点、5%水準で13.61点でした(大六、2012年)。

2段階目は、その差が一般の子どもでどのくらいよく見られるか(標準出現率)です。同じ表では、言語理解が知覚推理より10点以上高い子どもが24.4%、逆に10点以上低い子どもが26.6%で、どちらかの向きに10点以上の差がある子どもは合わせて約半数、20点以上の差でも8.6%と10.0%、合わせて約5人に1人いました(大六、2012年)。専門家の間では、標準化サンプルでの出現頻度が10〜15%以下なら「まれ」とみなすことが提案されています(上野、2013年)。

つまり、有意な差があっても一般の子どもには珍しくないことが多く、差があること自体は異常のしるしではありません。同じ資料は「有意差があるだけで能力に偏りがあると断じない」ことを強調しており、米国の発行元の技術資料も1つの分析だけで学習障害を判定することを勧めていません(Pearson、Technical Report #1)。発達障害の診断は、医師が発達歴や家庭・学校での困りごとと合わせて行うもので、WISCの凸凹だけでは決まりません。

5つの指標は日常のどんな場面と関係するか

指標の差が「まれ」で、しかも日常の困りごとと一致しているときに、支援の手がかりになります。各指標がかかわりやすい場面の目安は次のとおりです。

ただし、低い指標がそのまま困りごとの原因だとは限りません。緊張や体調、注意の波でも下位検査の得点は動くため、「どの問題で、どうつまずいたか」という検査中の様子(行動観察)とあわせて検査者に解釈してもらうことが大切です。

結果票を受け取ったら:所見・学校との共有・再検査

WISC-Ⅳのマニュアルは、検査結果は所見とともに伝え、数値だけを伝えるのは倫理に反するとし、記録用紙の集計ページをコピーして専門家以外に渡してはならないとしています(大六、2012年)。数値の表だけを受け取った場合は、解釈と支援の提案を書いた所見を検査者に求めてください。

学校で配慮を求めるときは、所見が話し合いの材料になります。文部科学省は、合理的配慮は学校と本人・保護者が発達の段階を考慮しつつ合意形成を図ったうえで提供されることが望ましく、その内容を個別の教育支援計画に明記することが重要だとしています(文部科学省)。

再検査は、練習効果を避けるために2年程度あけるのが目安です。WISC-Ⅲのデータでは、1年以内の再検査(27人)で各IQが7.5〜10.2ポイント上昇し、2年以上あけた場合(39人)は変動が見られませんでした(科研費報告書)。医療機関で保険診療として受ける場合、WISC-Ⅴは診療報酬の「操作と処理が極めて複雑なもの」450点にあたり(厚生労働省)、3割負担なら検査料の自己負担は1,350円です(診察料などは別)。2歳から使える田中ビネー知能検査は結果の表し方が違い、同じ子どもでもWISCより高く出た報告があるため、数値を横並びで比べないでください。子どもの検査全般は子供のIQテストで扱っています。

WISCは子ども向けの個別検査で、オンラインのテストでは代わりになりません。保護者自身が、平均100・標準偏差15の尺度や分野ごとの凸凹の見え方を自分の結果で体験してみたい場合は、BrainRankの無料IQテストが空間推理・パターン認識・論理的推論・分類能力の4分野・20問(約10分)を項目反応理論(IRT)で採点し、推定IQと分野別の得意・不得意を返します。受検は無料・登録不要で、推定IQを含む結果表示は300円(税込)の1回払い(自動更新なし)です(初回表示から24時間は再表示でき、表示中に画像・PDFで保存できます)。結果は娯楽・自己理解のための推定値で、医療・診断目的の検査ではありません。

よくある質問

WISCで指標の差(凸凹)が大きいと発達障害ですか?
差だけでは判断できません。WISC-Ⅳの標準化データでは、言語理解と知覚推理に10点以上の差がある子どもが合わせて約半数、20点以上でも約5人に1人いました。統計的に有意な差でも一般の子どもで珍しくないことが多く、専門家は標準化サンプルでの出現率が10〜15%以下かどうかで「まれ」かを判断します。米国の発行元の技術資料も、1つの分析だけで学習障害を判定することを勧めていません。診断は、医師が発達歴や生活の困りごとと合わせて判断するものです。
WISCはどのくらいの間隔をあければ受け直せますか?
練習効果を避けるには2年程度あけるのが目安です。WISC-Ⅲのデータでは、1年以内に再検査した27人で各IQが7.5〜10.2ポイント上がった一方、2年以上あけた39人では結果に変動が見られませんでした。短い間隔で受けて数値が上がっても、問題に慣れた影響が含まれるため、伸びたとは言い切れません。
WISCの結果票を学校に渡してもいいですか?
数値の表だけを渡すより、検査者の所見(解釈と支援の提案)を共有するほうが役立ちます。WISC-Ⅳのマニュアルは、結果は所見とともに伝え、数値だけを伝えるのは倫理に反するとしています。学校での合理的配慮は、学校と本人・保護者が合意形成を図ったうえで提供し、その内容を個別の教育支援計画に明記することが望ましいと文部科学省は示しているので、所見をもとに担任や特別支援教育コーディネーターと話し合うのが近道です。

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編集・免責事項

BrainRank編集部

本記事はBrainRank編集部が、CHC理論・項目反応理論(IRT)など心理測定に関する学術文献を参照して執筆・編集しています。記載している統計・割合は、平均100・標準偏差15の正規分布モデルに基づく算出値です。

本サイトのテストは娯楽・自己理解を目的とした推定値を提供するものであり、医療・臨床目的の検査や公式な心理検査(知能検査)ではありません。

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