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知的障害のIQはいくつから?軽度・中度・重度の基準と診断の考え方

知的障害のIQはいくつから?軽度・中度・重度の基準と診断の考え方

要点: 知的障害の目安は、標準化された知能検査のIQがおおむね70以下であることですが、IQの数値だけでは決まりません。厚生労働省の調査では、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)に現れ、日常生活に支障があって特別の援助を必要とする状態と定義されています。知能水準の区分はIQ51〜70が軽度、36〜50が中度、21〜35が重度、20以下が最重度で、日常生活能力の水準と組み合わせて程度を判定します。DSM-5は重症度をIQではなく適応機能で決め、ICD-11は平均より2〜3標準偏差低い範囲を軽度としています。有病率は世界で約1%、日本の知的障害者は約126万8千人と推計されています。

知的障害の目安は、標準化された知能検査で測ったIQがおおむね70以下であることです。ただしIQの数値だけで決まるわけではなく、日常生活や社会生活への適応に支障があること、その状態が発達期(おおむね18歳まで)に現れていることを合わせて判断します。この記事では、軽度・中度・重度・最重度のIQの目安、DSM-5とICD-11での考え方、療育手帳の等級との関係、相談先を公的資料をもとに整理します。

知的障害とは:IQ・日常生活能力・発達期の3つで判断する

知的障害とは、厚生労働省の調査での定義によると「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」です。判断の基準は2つあります。標準化された知能検査(ウェクスラー式、ビネー式など)で測った知能指数がおおむね70までであること、そして日常生活能力(自立機能・運動機能・意思交換・移動・職業など)の到達水準が、定められた4段階(a〜d)のいずれかに該当することです。この両方に当てはまる場合を知的障害としています(厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査」用語の解説)。

国際的な定義も同じ3つの要素でできています。米国知的・発達障害協会(AAIDD)は、知的機能と適応行動の両方に明らかな制約があり、それが22歳より前に始まる状態を知的障害としています。適応行動は、読み書きやお金・時間の概念といった概念的スキル、対人関係などの社会的スキル、身の回りのことや仕事などの実用的スキルの3つに分けられます(AAIDDによる知的障害の定義)。

IQ70は、平均100・標準偏差15の正規分布で平均よりちょうど2標準偏差低い値です。理論上、IQ70を下回る人は全体の約2.3%(約44人に1人)にあたります。分布上の位置はIQ70はどのくらいとIQの分布データで確認できます。

55708510011513014568%(IQ85〜115)95%(IQ70〜130)
IQの正規分布: 平均±1SDに約68%、±2SDに約95%が収まる。

軽度・中度・重度・最重度のIQの目安

知的障害の程度は、軽度・中度・重度・最重度の4段階で表されるのが一般的です。厚生労働省の調査で使われた知能水準の区分では、IQ51〜70が軽度、36〜50が中度、21〜35が重度、20以下が最重度にあたります。国際的な診断基準や自治体の手帳制度では、境目の数値が少しずつ異なります。

程度厚生労働省の調査ICD-11(平均からの差)東京都「愛の手帳」
軽度IQ51〜702〜3標準偏差低い4度:おおむね50〜75
中度(中等度)IQ36〜503〜4標準偏差低い3度:おおむね35〜49
重度IQ21〜354標準偏差以上低い2度:おおむね20〜34
最重度IQ20以下4標準偏差以上低い1度:おおむね19以下

ここで大切なのは、IQの区分がそのまま程度になるわけではない点です。厚生労働省の調査では、知能水準の区分と日常生活能力の水準(a〜d)を組み合わせて程度を判定し、「程度判定においては日常生活能力の程度が優先される」と注記しています。たとえば知能水準がIQ20以下の区分でも、日常生活能力水準が「d」の場合は、最重度ではなく1段階軽い重度と判定されます。

DSM-5とICD-11はIQの数値だけで重症度を決めない

DSM-5(米国精神医学会の診断基準)は、知的障害の重症度をIQの数値ではなく適応機能で決めます。適応機能は概念的・社会的・実用的の3領域で評価されます。IQは「平均よりおよそ2標準偏差以上低い、約70以下」という目安として本文に残されていますが、診断基準そのものからは外されました。IQだけが重視されて、その人が実際にどの程度生活できているかが見落とされないようにするためです(米国精神医学会「DSM-5 Intellectual Disability Fact Sheet」)。

ICD-11(世界保健機関の国際疾病分類)は、知的機能と適応行動の両方が平均より約2標準偏差以上低いこと(およそ下位2.3%)を基準とし、2〜3標準偏差低い範囲を軽度、3〜4標準偏差低い範囲を中等度、4標準偏差以上低い範囲を重度・最重度としています。重度と最重度は、既存の知能検査では信頼できる区別がつかないため、適応行動の違いだけで分けられます(WHO「ICD-11」6A00 知的発達症)。標準偏差15の検査に当てはめると、軽度はIQおよそ55〜70、中等度はおよそ40〜55、重度・最重度は40未満に相当します(当サイトによる換算)。

IQ70以下でも知的障害とは限らない:数値を読むときの注意

IQが70を下回っていても、それだけで知的障害と判断されるわけではありません。数値を読むときは次の点に注意が必要です。

  • 測定誤差がある: IQは検査のたびに数点ゆれます。AAIDDは知的機能の制約の目安を「IQ70前後、高くて75まで」としており、70という1点で機械的に線を引くわけではありません
  • 検査によって数値が変わる: 同じ人でも田中ビネー知能検査とウェクスラー式の検査(WISCの結果の見方、WAISとは)では結果が異なることがあります
  • 適応行動と合わせて判断する: IQが70以下でも日常生活に支障がなければ、知的障害とは判定されません
  • IQ70〜84は知的障害ではない: この範囲は境界知能と呼ばれ、診断名ではありません

発達障害との違いも混同されやすい点です。自閉スペクトラム症(ASD)やADHDは知的障害とは別の状態で、知的障害を伴う場合も伴わない場合もあります。詳しくは自閉スペクトラム症とIQとADHDとIQで解説しています。

知的障害のある人はどのくらいいる?世界で約1%

知的障害の有病率は、52の研究をまとめたメタ分析で人口1,000人あたり10.37人、つまり約1%でした(Maulikら、2011年、Research in Developmental Disabilities)。米国精神医学会は、知的障害のある人のうち約85%が軽度だとしています(米国精神医学会「What is Intellectual Disability?」)。

日本では、知的障害者(知的障害児を含む)は約126万8千人、人口1,000人あたり10人と推計されています(内閣府「令和8年版障害者白書」参考資料)。療育手帳の交付者数は令和6年度末で132万1,350人です(厚生労働省「療育手帳制度の概要」)。

正規分布の理論値ではIQ70未満は約2.3%ですが、実際に知的障害とされる人は約1%です。この差の理由としては、IQに加えて日常生活への支障が条件になること、軽度の場合は検査や判定を受けていない人がいることなどが考えられます。

療育手帳の等級とIQ:基準は自治体ごとに違う

療育手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所で知的障害と判定された人に交付される手帳で、判定基準は自治体ごとに定められています。国の通知が示しているのは「重度(A)」と「それ以外(B)」の区分だけです。重度(A)は、IQがおおむね35以下で、食事や着替えなど日常生活に介助が必要な場合や異食・興奮などの問題行動がある場合と、IQがおおむね50以下で盲・ろうあ・肢体不自由などがある場合とされています(厚生労働省「療育手帳制度の概要」)。

多くの自治体はこれをさらに細かく分けています。東京都の「愛の手帳」は1度(最重度)から4度(軽度)の4段階で、IQの目安は1度がおおむね19以下、2度が20〜34、3度が35〜49、4度が50〜75です。判定は知能検査の数値だけでなく、日常生活の様子と合わせて総合的に行われます(東京都心身障害者福祉センター「愛の手帳Q&A」)。手帳の名称や等級の分け方、対象となるIQの上限は自治体によって異なるため、お住まいの自治体の窓口で確認してください。

気になるときの相談先と検査

知的障害かどうかを調べるには、専門家が1対1で実施する標準化された知能検査と、日常生活の状況の聞き取りが必要です。子どもにはWISC、16歳以上にはWAIS、幅広い年齢に田中ビネーなどが使われます。

  • 18歳未満: 児童相談所、市区町村の子ども・障害福祉の窓口、小児科や発達外来
  • 18歳以上: 知的障害者更生相談所、市区町村の障害福祉の窓口、精神科
  • 療育手帳を申請したいとき: まず市区町村の障害福祉の窓口に相談する

オンラインのIQテストでわかること・わからないこと

BrainRankを含むオンラインのIQテストでは、知的障害の診断や判定はできません。気になることがある場合は、上に挙げた相談先や医療機関に相談してください。自分の推論の得意・不得意の目安を知りたいという目的であれば、BrainRankの無料IQテストは空間推理・パターン認識・論理的推論・分類能力の4分野・20問(約10分)を項目反応理論(IRT)で採点し、平均100・SD15の尺度で推定IQを返します。受検は無料・登録不要で、推定IQを含む結果表示は300円(税込)の1回払い(自動更新なし)です(初回表示から24時間は再表示でき、表示中に画像・PDFで保存できます)。結果は娯楽・自己理解のための推定値で、医療・診断目的の検査ではありません。

よくある質問

軽度知的障害はIQいくつですか?
厚生労働省の調査で使われた区分では、IQ51〜70が軽度知的障害にあたります。ICD-11では平均より2〜3標準偏差低い範囲が軽度で、標準偏差15の検査ならおよそ55〜70に相当します。東京都の「愛の手帳」では4度(軽度)がIQおおむね50〜75です。いずれもIQだけで決まるわけではなく、日常生活能力や適応行動と合わせて判定されます。
IQが70以下なら必ず知的障害と診断されますか?
必ずではありません。知的障害と判断されるのは、IQがおおむね70以下であることに加えて、日常生活や社会生活への適応に支障があり、その状態が発達期に現れている場合です。IQには測定誤差があり、米国知的・発達障害協会(AAIDD)は「70前後、高くて75まで」を知的機能の制約の目安としています。IQが70を少し下回っていても、日常生活に支障がなければ知的障害とは判定されません。
オンラインのIQテストで知的障害かどうかわかりますか?
わかりません。知的障害の判定には、WISCやWAIS、田中ビネーなど専門家が1対1で実施する標準化された知能検査と、日常生活の状況の聞き取りが必要です。療育手帳の判定は、18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所で行われます。オンラインのテストは自己理解のための目安にとどまり、診断や判定には使えません。

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編集・免責事項

BrainRank編集部

本記事はBrainRank編集部が、CHC理論・項目反応理論(IRT)など心理測定に関する学術文献を参照して執筆・編集しています。記載している統計・割合は、平均100・標準偏差15の正規分布モデルに基づく算出値です。

本サイトのテストは娯楽・自己理解を目的とした推定値を提供するものであり、医療・臨床目的の検査や公式な心理検査(知能検査)ではありません。

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