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自閉スペクトラム症(ASD)とIQ|知的障害の割合と検査で出る凸凹

自閉スペクトラム症(ASD)とIQ|知的障害の割合と検査で出る凸凹

要点: 自閉スペクトラム症(ASD)はIQの高さとは別の特性で、知的障害を伴う人も伴わない人もいます。米国CDCの2025年報告(2022年データ、8歳児)では、ASDの子のうちIQ70以下が39.6%、71〜85が24.2%、86以上が36.1%でした。知能検査では凸凹が出やすく、WISCでは積木模様が高く符号(処理速度)が低い傾向が検査の版を問わず見られ、処理速度はおよそ1標準偏差低く出ます。自閉症の子どもはウェクスラー式よりレーヴン漸進的マトリックスで平均30パーセンタイル高く出たという研究もあり、どの検査で測るかで知能の見え方が変わります。IQテストでASDを診断することはできません。

自閉スペクトラム症(ASD)とIQは別の軸です。ASDは対人コミュニケーションの困難と、限定された興味・反復的な行動を特徴とする発達障害で、知的障害を伴う人も、平均以上のIQを持つ人もいます。ただし知能検査では得意と不得意の差(凸凹)が大きく出やすく、どの検査で測るかによって数値が大きく変わることもわかっています。この記事では、最新の統計と研究から、ASDとIQの関係を整理します。

ASDの人のIQ分布:知的障害を伴うのは約4割

米国CDCの自閉症・発達障害モニタリング(ADDM)の2025年報告では、2022年時点で8歳児の31人に1人がASDと把握されていました。IQのデータがあるASDの子5,292人のうち、IQ70以下(知的障害の範囲)は39.6%、71〜85(境界域)は24.2%、86以上(平均域以上)は36.1%でした(CDC MMWR、Shawら、2025年)。

IQの範囲2020年データ2022年データ
70以下(知的障害の範囲)37.9%39.6%
71〜85(境界域)23.5%24.2%
86以上(平均域以上)38.6%36.1%
ASDの把握率(8歳児)36人に1人31人に1人

2020年データはMaennerら(2023年)によるものです。これらは米国の8歳児を記録から集計した値で、国や年齢、診断の範囲によって割合は変わります。日本自閉症協会は、ASDの人の約半数が知的障害を伴うと報告されていると説明しています(日本自閉症協会)。境界域のIQについては境界知能とはで解説しています。

アスペルガー症候群・高機能自閉症とASDの関係

2013年に改訂された米国精神医学会の診断基準DSM-5では、それまでの自閉性障害、アスペルガー障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害が「自閉スペクトラム症」に統合されました(APA「DSM-IV-TRからDSM-5への主な変更点」)。現在の診断では「知的障害を伴う/伴わない」を付記して表します(CDC)。

以前「アスペルガー症候群」や「高機能自閉症」と呼ばれていたのは、主に知的な遅れを伴わないASDです。こども家庭庁の資料でも、「高機能」は知的な遅れを伴わないことを指すと説明されています(こども家庭庁「代表的な発達障害」)。「高機能」は知能の高さを示す言葉ではなく、生活上の困りごとが軽いという意味でもない点に注意が必要です。

WISCで出やすい凸凹:積木模様が高く、処理速度が低い

ASDの人の知能検査では、下位検査の間の差が大きく出やすいことが知られています。日本の研究チームが4つの版のWISCを比較した研究では、知的水準や診断の区分にかかわらず、積木模様(図形を組み立てる課題)が一貫して高く、符号(記号を素早く書き写す課題)が一貫して低いという傾向が見られました(Takayanagiら、2022年)。

WAIS-Ⅳ・WISC-Ⅴの指標で見ると、18の研究・1,800人以上をまとめた分析で、言語と非言語の推理は平均的な範囲にある一方、処理速度はおよそ1標準偏差(15点)低く、ワーキングメモリもやや低めでした(Wilson、2024年)。

WISCの指標ASDでの傾向
言語理解平均的〜やや低め(個人差が大きい)
視空間・流動性推理平均的、積木模様は高く出やすい
ワーキングメモリやや低め
処理速度低く出やすい(約1SD)

全検査IQは凸凹を平均した値なので、凸凹が大きい人では全検査IQだけを見ても実態がつかめません。指標ごとの読み方はWISCの結果の見方、処理速度の中身は処理速度の鍛え方で扱っています。

レーヴン検査ではウェクスラー式より高く出る

どの検査で知能を測るかによって、ASDの人の知能の見え方が大きく変わることを示した研究があります。自閉症の子ども38人は、言語での指示や応答を多く含むウェクスラー式知能検査より、図形の規則を見抜くレーヴン漸進的マトリックスで平均30パーセンタイル高い成績を示し、なかには70パーセンタイル以上高い子もいました。定型発達の子どもではこの差は見られず、成人でも同様の傾向でした(Dawsonら、2007年、Psychological Science)。

?+1→+1→+1→
例: 各行とも左→右に+1ずつ増える規則。まず行方向の変化から確認する。

この研究は、言葉を使う検査ではASDの人の推論力が過小評価されうることを示しています。レーヴン検査の形式と歴史はレーヴン漸進的マトリックスとは、行列推理の解き方は行列推理のコツで解説しています。

サヴァン能力はどれくらいの人にあるのか

特定の分野で際立った能力を示すサヴァンは、ASDとの関連でよく語られます。ASDの137人(平均24歳)を調べた研究では、28.5%にあたる39人が、サヴァン的な技能か、検査上の突出した認知能力を持っていました。検査上の突出で最も多かったのは積木模様で、非言語性IQが50未満の人には見られませんでした(Howlinら、2009年)。

「ASDの人は特別な才能がある」というイメージは一部にしか当てはまりませんが、得意な分野がはっきりしている人が少なくないのも確かです。詳しくはサヴァン症候群とはとニューロダイバーシティで扱っています。

IQテストでASDはわからない

ASDの診断は、対人コミュニケーションの困難と、限定された興味・反復行動が発達の早い時期からあり、生活に支障が出ているかどうかを、医師が面接や行動観察、発達歴の聞き取りで判断します。知能検査は診断のための検査ではなく、知的障害を伴うかどうかの判断や、得意・不得意に合わせた支援を考える材料として使われます。オンラインのIQテストも同様で、ASDかどうかはわかりません。

自分の推論力を図形の問題で確かめるには

言葉を使わない図形の問題は、言語の得意・不得意に左右されにくい推論力の目安になります。BrainRankの無料IQテストは空間推理・パターン認識・論理的推論・分類能力の4分野・20問(約10分)をすべて図形で出題し、項目反応理論(IRT)で採点して、平均100・SD15の尺度で推定IQと分野ごとの得意・不得意を返します。受検は無料・登録不要で、推定IQを含む結果表示は300円(税込)の1回払い(自動更新なし)です(初回表示から24時間は再表示でき、表示中に画像・PDFで保存できます)。結果は娯楽・自己理解のための推定値で、医療・診断目的の検査ではありません。

よくある質問

自閉スペクトラム症の人はIQが高いのですか、低いのですか?
どちらとも言えず、幅がとても広いのが特徴です。CDCの2022年データでは、ASDの8歳児のうちIQ70以下が39.6%、71〜85が24.2%、86以上が36.1%でした。日本自閉症協会は、ASDの人の約半数が知的障害を伴うと報告されていると説明しています。一方で平均以上のIQの人も3分の1以上おり、「ASDだから頭がいい」「ASDだから知的に遅れている」のどちらも一般化はできません。
アスペルガー症候群と高機能自閉症、ASDは何が違いますか?
2013年のDSM-5で、自閉性障害・アスペルガー障害・特定不能の広汎性発達障害などが「自閉スペクトラム症」に統合されました。以前アスペルガー症候群や高機能自閉症と呼ばれていたのは、主に知的な遅れを伴わないASDです。現在の診断では、ASDに「知的障害を伴うか伴わないか」を付記する形で表します。
WISCで凸凹が大きいとASDですか?
凸凹だけではASDとは言えません。ASDの人では積木模様が高く、符号や処理速度が低い傾向が報告されていますが、同じような凸凹はASDでない人にも見られます。ASDの診断は、対人コミュニケーションの困難と、限定された興味や反復行動が幼少期からあるかどうかを、医師が面接や行動観察で判断します。知能検査は支援の方針を考える材料として使われます。

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編集・免責事項

BrainRank編集部

本記事はBrainRank編集部が、CHC理論・項目反応理論(IRT)など心理測定に関する学術文献を参照して執筆・編集しています。記載している統計・割合は、平均100・標準偏差15の正規分布モデルに基づく算出値です。

本サイトのテストは娯楽・自己理解を目的とした推定値を提供するものであり、医療・臨床目的の検査や公式な心理検査(知能検査)ではありません。

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